こんばんは、子供会のよつばです。
先日、小学生親子向けのものづくりワークショップを開催しました。
その様子をレポートしたいと思います。
このワークショップでは、小学生親子にパーツの組み立てから電子回路、プログラミング、通信まで一通り触れて貰い、動くものを作る楽しさを知って興味を持って貰おうという目的があり、3組6名の小学3〜4年生&お父さんに参加頂きました。
小学生だと少し難しいかな?でもお父さんと協力すればできるよね、くらいの難易度を目指して設計しました。今回使った部品はすべて市販されているものですが、どの部品をどう使うか、どう組み合わせるかの手順はオリジナルです。
ワークショップ開始
まずは導入部。電池とモーターを繋げるとどうなるのかなどの基本的な説明です。
説明を聞いてくれる子供達
相手が小学生ということもあり、出来るだけ平易な言葉での説明を心掛けます。
文科省の学習指導要領で小学3〜4年生は理科でこの辺りを習うことはチェック済みですので、「電池とモーターをこうやって繋げたらどうなるかな?」と質問したり、「学校で習った?」「うん、理科で電池使った」とアイスブレイクも兼ねてやりとりをメインにしました。
「習ったよね」「習った習った~」と確認し合う子供達
作業開始
子供達に今日の材料一式を渡しました。
100均のタッパーに綺麗に詰めて渡しましたので、開けるときにワクワクします。
開けて一言「学校でやったのより多い‧˚₊*̥(* ⁰̷̴͈꒨⁰̷̴͈)‧˚₊*̥」
こんな内容、小学校では絶対にやらないからね。中学でもやらないね。
まずは今日やることの全体像を把握します。
「取り掛かる前に、どんなことをやるのかざっと把握しておくことは大事だよ。ゴールが見えていると今どのくらい進んでいるかわかるからね」と、組み立ての流れを記載したページの項目を子供達に順に読み上げて貰いました。
小学生でこの辺りの漢字が読めるのかの確認も兼ねてます。漢字は結構読めていることがわかり、心配するほどではありませんでした。
部品の確認
今日使う部品が揃っていることの確認です。
子供達自身が今後何かに取り組む時に、途中で部品が足りずに中断することがないよう経験として知っておいて貰う意味もあります。
主催側としては、今回3セットの用意なので、流石に部品が漏れていることはないと思いますが、作業途中で部品が足りないことに気付いた時、元々あったのか(例えば床に落として見失ってるだけなのか)、主催側が入れ忘れているのか、その辺りの切り分けが出来るよう保険の意味もあります。
パーツ組み立て
さっそく、部品を作り始めます。
タイヤ&ホイール(前輪用)、キャスター(後輪用)、ギヤーボックスと作っていきます。基本的にタミヤのパーツを使っているため、細かい手順は付属の説明書を参照します。
親子で「こっちじゃない?」「あ、これだ」とワイワイやってます。
組み立ての様子
実はここで今回一番の難関がありました。ギヤーボックスという、モーターとギヤーとタイヤを結び付けるパーツがかなり難易度が高いのです。
元々その認識はありまして、ここでお父さんが活躍し「お父さんすご〜い」となるシナリオを想定してました。
ところが、そのお父さん達がかなり苦戦していました。
「お父さんは子供の頃ミニ四駆を作っていて、こういうの得意なんだよ」という親子の会話は全く聞こえません。
お父さん達が必死にギヤーボックスを組み立てている間、飽きた子供達のスイーツタイムが始まりました。
スイーツタイムの子供達
時折、「できたー?」と確認しにくる子供達に、頭を抱えたお父さん達が「まだ」と答えます。
プラモデル好きのお父さんは大丈夫そうですが、慣れていないお父さんは苦戦しています。講師が支援に入り、3組がほぼ同じくらいのタイミングで出来上がり、進捗は一旦揃いました。
そんなわけで結局20分予定のところで、1時間ほどかかりました。
ボディ組み立て
組み立てたパーツを組み合わせ、ボディに仕上げていきます。ボディもタミヤのパーツで、ユニバーサルプレートというものを使用しています。立体感を出すために金属のプレートも使い、ユニバーサルプレートを2枚組み合わせた2階建て構造を採用しました。
ここでも頑張るお父さん
ユニバーサルプレートに、キャスター、ギヤーボックス、電池ボックス、モバイルバッテリー、金属プレートを組み付けていきます。そしてギヤーボックスのシャフトにホイールを取り付けると車体は完成です。
もはや違う遊びを始める子供達
講師は、前日飲み会で二日酔いのお父さんの支援に入ります。20分予定のところ、40分かかりましたが、全員揃って完了しました。
配線
ブレッドボードに、ESP-WROOM-02、モータードライバを挿し、ジャンプワイヤで結線していきます。
まずは、大きいものから配置していきます。
そしてプロジェクターで投影している結線先にジャンプワイヤを挿そうとしますが、GNDって何?シルク印刷の字が小さくて読めない!!と阿鼻叫喚の様。
ブレッドボードに配線した結果
ESP-WROOM-02、モータードライバ付属の紙を頼りに、「4番はどこだ?これか〜」「Vccどこ?」と、ここも苦戦している模様。配線結果をチェックし、全員大丈夫そうなので、次に進みます。15分予定のところ40分かかりました。
プログラミング
PCは仕事で当たり前のように使用しているので、気楽になったお父さん
プログラミング部分で子供に何して貰うかは悩みました。
まだプログラミングの授業は始まっていませんし、触れていたとしてもScratchのようなビジュアルプログラミングが限界かなと。そもそもキーボードを的確に叩けないだろうとも。結局2箇所の穴埋めにしました。「ここにこう書くと走るんだよ」と説明し、関数の引数を入力させました。数値の意味も説明しましたが、おそらく理解はしてないと思います。
プログラムはあっという間に完成です。
書き込み
コンパイルしたプログラムを機体に転送します。ただPCと機体を接続して書き込みボタンを押すだけです。
今回、参加者の1組はMacBookを持参しました。事前に伝えていた通り、開発環境をセットアップ済でした。残り2組は手頃な持ち運べるノートPCを持ち合わせていなかったため、こちらで用意したMacBook ProとWindowsタブレットを用意しました。
主催側で用意する場合、準備の手間は増えますが、一方で参加者に用意して貰うのもリスクがあります。当日持ってくるのを忘れた、持ってきたけどセットアップ忘れた、持ってきたものが特殊でうまく動かない、など。
実際、持参して貰ったMacBookではプログラムの転送でエラーが出ました。
同じ機体をこちらの用意したMacBook Proで試したところ成功しました。MacBookのUSBコネクタがType Cだったので、変換コネクタを経由しているためではなかろうかと推測されます。
すんなりとはいかないにしろ、転送も出来ました。
さてワクワクタイムです。各機体にはWebサーバが備わっており、スマホのブラウザで接続してコントロール画面を表示します。
まずは自分のスマホを主催側が用意したモバイルルータに接続します。そしてブラウザアプリを起動し、自分の機体のIPアドレスなんだっけと確認してます。
ブラウザのアドレスバーに入力し、タップ。。。さぁ表示されるか。
3台中2台は1発で動きました。
さっそく子供が床で走らせて遊び始めました。
1台は、原因究明です。こうなることは予想済でしたので、トラブルシューティング用のスライドを投影し、どの症状なら何を調べるべきか確認していきます。
画面が表示されない→無線LANに接続できているか、IPアドレスは合っているか
画面は表示されるがボタンを押しても反応しない→モーターの電源は接続されているか、電池は入っているか、配線は正しいか
そして、動くことを確認できました。
記念撮影&クロージング
出来上がった機体を持って記念撮影をしました。
子供達は大笑顔です。お父さん達の頑張りが大きかったですが(笑)
改善ポイント
- 作業量を減らす
→予想より時間がかかりました。3時間の枠を取っていましたが、4時間かかりました。難易度の高い組み立てパーツは組み立て済でスタートする等、全体的な作業量を減らし、時間短縮を図る必要があります。 - 基板の文字が読めない
→年齢の高いお父さんへの配慮が必要で、基板の文字が読めるよう拡大写真をプロジェクターに投影する - 子供は難易度が高い部分があると飽きてしまう
→ワークショップ中の様子からも、アンケート結果からも、ギヤーボックスの組み立ては難易度が高いことがわかりました。親子間の協力を促したいこともあり、敢えて難しい部分も残しつつお父さんに頑張って貰おうと思いましたが、だとしたらお父さんが不慣れで苦戦するケースを想定し、時間に余裕を持つ(全体の作業量を減らして時間確保する)べきでした。 - 子供を飽きさせない仕掛け
→小学生の集中力は予想より短かったです。ただ、親の話を聞く限り、別のScratchワークショップでは3時間近く集中できていたとのこと。Scratchでは、少しブロックをくっつけたら動かし反応を見ていたので、そのおかげとも。今回動きがわかるのは最後の動作確認になってからなので、その点で子供に優しくない。子供の興味を引き続けるためにフィードバックがすぐ得られる仕掛けを用意し、集中を持続する必要があります。 - プログラミングの自由度を上げる
→今回プログラミング部分は穴埋め形式でしたので、決められた文字を入れることになります。その1つがモーターを制御する関数の出力の値でした。アンケートではここが物足りないと頂きました。例えば、説明のあと、好きな値を入力させ、実際に動かしてみたときの挙動と紐づけて考えさせると良いのではないかと。機体をカーブさせるには、左右の出力を変える必要があるので、「どうやったらカーブできるか」というお題で、値を入力させるイメージです。
動きと紐づけることは、前項の子供の興味を引き続ける仕掛けとしても必要ですし、フィードバックをすぐ得て実際の体験に結び付けられると学びとしても大きくなると思いますし、今後はこのあたりの仕掛けを用意していきたいです。
まとめ
ものづくりワークショップの様子をお伝えしました。今後も何かしらワークショップ等を企画していきたいので、ご縁がありましたらよろしくお願いします。